桑田佳祐/白い恋人達 あなたの冬の恋物語
 
いつもクリスマスにだけ会ってた恋人同士がいた。本人たちが望 んでいるのではなく、クリスマスにしか「逢えない」のである。
彼らはいくつものクリスマスを一緒に過ごした。雪の振る中で、
たくさんのホワイトクリスマスを。
だが彼らは別れる事になる。
クリスマスにしか逢えない辛さに、彼女が負けてしまったのだ。
彼女は毎日会える環境にある男が、次第に好きになっていった。
何度目かのクリスマスの晩彼女はそれを彼に告げ、別れた。
だが彼は彼女の事が忘れられない。
もちろん面と向かって言われたのだ。彼も同意し、別れたのだ。
それでもやはり彼女が忘れられない。
クリスマスになっていつもの場所へ行けば、またいつものように 彼女が待っていてくれるのではないかと思ってしまう。いつもと 変わらぬ笑顔で話してくれるのではないかと思ってしまう。
彼にもそれが叶わぬ夢だという事はわかっていた。
それでも彼はそう信じるしかなかった。彼女を愛しているから。
やがて次の年のクリスマスがやってきた。
いつもの場所へいつもの時間にやってきた彼・・・しかしやはり そこに彼女の姿はなかった。
わかっていたことなのに、彼は辛くてその場で泣き崩れた。
一方彼女も、違う彼と二人幸せなクリスマスを送っていたのだ が・・・窓から舞い落ちる粉雪を見、時計を見ていつもなら待ち 合わせていた時刻だと思うと、一筋の涙が頬を伝った。
彼は待ちつづけた。寒さに耐えて。
もうそうすることしか出来なかった。
彼女は窓から雪を見て考える。考える・・・
そしてかけてあったコートに手を伸ばすと、静かに部屋を出て行 った。
男はそれを止めなかった。
やがていつもの場所で彼と彼女はもう一度出会う。
 
 
2001-10-28 渚
 
 
戻る
 
Copyright(c)Victor Entertainment, Inc. & Amuse, Inc. All rights reserved.