雪の上を歩くと思い出します。
高校1年生の時。もうこの人以上好きになれる人はいない、と思える人がいました。中学2年の時に一度つきあい、ひとつ年上の
Mが中学を卒業する前に別れが訪れ、新しい彼女に見送られなが
らMは卒業してしまいました。私は泣くことも出来ずに、ただMの
姿を追っていました。自分が側に居れなくても、Mを見ていられ
ればそれで良かった。
その後、私にも彼氏と呼べるような人が出来ましたが、Mのこと
を忘れることは出来ませんでした。Mは卒業後、その彼女とは別
れたとうわさでは聞いていました。
嫌われていてもMの姿が見たいだけで同じ高校を受験し、合格。
合格発表の日から間もなく、Mに呼び出され「もう1度、つき
あわないか?」と言われ、声にならずにただ涙があふれてきまし
た。大好きで、大好きで、でもいつか別れが来るという不安と、
嫌われたくないという気持ちで毎日が苦しくて。一緒にいてもす
ごく緊張していて、どうして良いのか分からなかった。
自分からは何も望めなくて、いつも待っているだけ。
冬休みを前に期末試験の勉強をしていたら、電話が鳴った。
「勉強してるかぁ、冬休みになると毎日会えないな。おまえもた
まには電話かけて来い。」普段なら絶対に言ってはくれないと思
っていた言葉に嬉しくて、夜中なのに「今から行ってもいい?」
と初めて自分の感情の言葉がでました。Mの家は歩いて20分く
らいのところにあって私はそっと家を抜け出しました。
前が見えにくいほど雪が降っていて、人影も車も無くて私だけ。
何だか恐くて一生懸命走った。車のタイヤの跡に雪が積もり、何
度も滑って転びながらも夢中で走った。(誰かいる!)ドキッとし
たと同時にMだと分かり、思わずMの胸に飛び込んでいた。「良く
来れたな」と抱きしめてくれた時2人の気持ちは確かに同じだと
感じました。私の頭の上の雪を手で払いながら、本当に優しい目
をしていました。1人で走ってきた道を振り返り、私1人の足跡
を見た時、ここからは2人の足跡で進んで行く・・・何度も何度
も降りかえって2つの足跡を確認しました。
まだ暗い内にMの家から帰るときも2つの足跡。雪はふわふわと
静かに降っていました。Mのジャケットのポケットの中で2人で手
をつなぎ、「足跡雪に埋もれちゃうね」と言うと「また、付けれ
ばいいべや」と言ってくれたMの言葉に別れなど来ないと思えま
した。Mとの2度目の別れが来た時、私も素直に受け入れてしま
いました。Mのことが大好きで、大好きで、自分の気持ちがとて
も重く、辛く、切なくて、距離を取った方がいいと思えて。
Mには彼女が出来、私にも「つきあってくれ」と言ってくれる
人が何人かいましたが、Mに対する気持ちでいっぱいで、他の人
という事にはなりませんでした。
父の仕事で私も転校することになり、Mのことを思いながら引
っ越してしまいました。その後もMからは連絡があり、元に戻れ
るならやり直したいと思いながらも、私にはMの所へ飛び込んで
行く勇気が出ませんでした。「俺、札幌に出るから、おまえもこ
ないか?」あの時Mの所へ行っていたらどうなっていたのか・・
人をあんなに好きになるなんて、辛くなるほど好きになれるな
んて、そして今でも時々Mを夢に見ます。
あの雪の夜を思い出すたびに、幼かった自分と、切なかった気持
ちと、会いたい気持ちが込み上げてきます。
今の私は優しい主人と2人の子供と充実した日々を送っていま
す。でも雪を見るたび、あの夜のMとの足跡を思い出します。
あのままMとの足跡が続いていたなら・・・と
2001-10-17 M
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