中学一年生の冬のことでした。
好きな男の子がいました。
無口で、色白で、他の生徒より大人びて見えました。
そのくせ笑うと子犬みたいに可愛らしくて…。
おせっかいなクラスメイト達のせいで、
私の思いはいつのまにか彼にも知れていたようです。
互いに分かっているのにいえない…そんな状況が続いて、
冬休みが近づいてきました。
どうしても休みに入る前にいいたくて、
告白を決心しました。
日もすっかり暮れて、星がうっすら見え始めてきました。
寒い寒い電話ボックスの中、かじかんだ手で電話番号を一生懸命
押しては、緊張のあまり受話器をおいてしまいます。
また受話器を取っても、指が震えてどうしてもかけられない。
仕方なく、友達に代わりにかけてもらいました。
涙が出そうなほど緊張していて、
「今、かわるね」友達に渡された受話器を落とさないように、
「もしもし」と言うのが精一杯でした。
言葉すら白く凍って、上手く喋れません。
「どうしたの?」はじめて直接耳に届いた彼の声が、
かすかに震えていたのを覚えています。
昨日の夜、洒落たセリフを考えてきたのに、言えたのは結局、
「好きです」の一言だけでした。
ドキドキと胸が高鳴り、体中が熱くなりました。
「…そう。あ…うん…」戸惑っているのか、緊張しているのか、
途切れ途切れな言葉に絶えられなくて、
「ごめんね、急だよね、バイバイ」
一方的に切ってしまったことを、後から悔やみました。
中途半端なまま冬休みに入り、クリスマスを目前に
私は友達と街に出かけていました。
すると、灰色のコートに白いマフラーと帽子をかぶった彼が、
友達と自動販売機で飲み物を買っていたのです。
半ば諦めかけていた彼を目の前に、
私の気持ちは忠実に告白したあの時に戻りました。
彼は私に気づくと、気まずそうに目をそらしました。
なんだか私まで気まずくなって、早く行ってしまおうとすると、
彼が私のほうに走ってきたのです。
驚いて彼の顔を見上げると、うつむいたまま、
「これ…あげる」私に缶コーヒーを渡しました。
「ありがと…」手袋越しに熱いコーヒーを握り、
何か言わなきゃと必死に言葉を探していると、
彼が小さな声で「ごめんね」と、私に呟きました。
声を出せば涙が出そうで、
マフラーに顔をうずめて顔を横に振りました。
その後のことはよく覚えてません。
友達に慰められながら、公園でいつまでもないていました。
この恋をして、はじめての涙でした。
2001-10-14 プチ子
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