北の街札幌は、3月も冬。
その人は、逢ってはいけない人だった。
だから決めたこの約束。
年に一度だけ、3月のこの日、この場所で。
初めて来た時と同じ時間に、この場所で会う。
電話も手紙も、お互いに連絡は何も出来ずに。
夜の街を見下ろすため夏は賑わう公園も、
雪でベンチも見えない冬は静か。
足跡ひとつない雪の坂を、柵を越えてふたりで登る。
何も言わずに暮れていく街を眺める。
坂を降りる時、差し出された手を握る。
それだけで、淋しい一年が溶けていく。
でも、3度目の今年
暮れていく街を、
坂の下でひとりで見た。
もう一度だけ、会いたい。
そう思う私の元へ
あの人の代わりに
雪が降って来る。
北の街札幌は、3月も冬。
2001-10-14 村上秀美
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