雪が降るたびに胸に蘇る、切ない記憶。
生涯初のホワイトクリスマス。
とにかくすごい雪で、三歩先は見えないほどだった。
傘を差し、彼女と二人、イルミネーションに彩られた……いや、
そのイルミネーションすら雪で隠された商店街を歩く。
雪は他の通行人さえ隠し、二人をまるで世界で二人きりのように
してくれた。
何か話がしたいけど、言葉が出てこない。
不意に彼女が立ち止まった。何かと思って彼女の方を見ると、彼
女は突然唇を僕の唇に押し付けてきた。
軽いキス。彼女はさっと離れると、照れたように笑う。
僕は何も言わず彼女の肩を抱き、また歩き始めた。
それから数ヶ月、彼女は僕よりも夢を選び、その年最後の雪が降
る中、バスに乗り込んで行ってしまった。
バスの停留所で見送る僕に、彼女は一度も振り返らなかった。
初めてのキス、そして別れ。
雪は一度に二つの思い出を呼び起こし、僕に切なさを運んでく
る。
そして、聖夜の鐘が、再び雪が降る季節がやってきたことを僕に
告げる。
今年の雪は、思い出の足跡を覆い隠し、新たな恋を運んでくれる
だろうか・……。
2001-10-11 tak
|
|