桑田佳祐/白い恋人達 あなたの冬の恋物語
 
「最後のクリスマスカード」


クリスマスが近づくにつれ、街の賑わいが増しても僕の心は一 向に高ぶることはありません。去年までは待ち遠しい程だったの に・・・

僕が彼女に引かれたのは屈託のない笑顔でした。その明るさに どれだけ助けられたか計り知れません。一緒に過ごしたイブの 晩、彼女は言いました。
「神様って本当にいるかもね。だってさ〜、今この時間をあなた と共有していることって、ただの偶然ではないと思うんだ。」
その時は彼女の言ってることがイマイチ理解できなかった。

それからいくつかの季節が過ぎ、僕達は将来を誓い合う仲にな っていました。ごく平凡ではあるが、お互いが尊重し合えるそ んな家庭を夢見ていました。

ところが去年の夏、それは突然やってきました。
彼女が病に倒れたのです。3ヶ月におよぶ入院の末、自宅で療養 することになりました。彼女は病と戦いながらも笑顔だけは絶や すまいと必死だったようです。なかなか会うこともままならず、 もっぱら電子メールと電話でのやり取りでした。
離れてはいても気持ちは通じ合っていました。

もうすぐクリスマスという日に彼女は天に召されました。
なんの前触れもなく、静かに眠るように・・・
僕は神を呪いました。やはり神なんていなかった。

数日後、クリスマス・イブに一通のグリーティングカードが届 きました。

メリークリスマス
あなたに会えて本当に幸せでした。
一緒に過ごした時間は短かったけど、誰よりも私のことを愛して くれたあなたに出会えたことを神に感謝します。
 
 
2001-11-23 Tsuka
 
 
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