毎年、クリスマスはバイトなの。
親戚のおじさん家がケーキ屋だから、イヴには駆り出される。
赤いミニスカートのサンタ服にブーツ姿で寒風吹きすさぶ中、
店先でケーキを売りまくる!!
ようやくお客さんもまばらになってきた午後7時。
おじさんが
「ありがとう。ご苦労さん!来年も頼むよ。」
と茶封筒を手渡してくれる。
サンタ服の上からコートを羽織り、早足で駅に向かう。
街はイヴの夜の華やかな賑わい。
どこからもクリスマスナンバーが流れてくる。
心が浮き立つリズムのメロディ。
だけど、今夜、何の予定もない私にはなんだか辛い。
駅前には、青いリボンと銀色の球で飾られた大きな真っ白いクリ
スマスツリー。
その側で人待ち顔で立つ何人かの人達・・・。
と、その中に先輩の姿が見えた気がして・・・
思わずツリーへと駆け寄った。
・・・でも、やっぱり人違いだった。
当然なのに。
先輩が今夜、ここで私を待っていてくれてるなんてこと、あるは
ずないのに。
どうして、どうして一瞬でも、そんなふうに思ったりしたんだろ
う?
ツリーにきらめく青い星のような光を見ながら、こぼれそうにな
る涙をこらえた。
・・・そう、去年は・・・
イヴの夜、ここで先輩と待ち合わせて食事に出掛けた。
バイトでサンタ服を着ていたことを話すと
「ええっ?!どうして、それ着て来てくれなかったの?!見たか
った!!」
と、しきりに残念がってくれたので、
「じゃ、来年は約束♪」
なんてキスしたのに・・・な。
先輩、卒論で忙しくって。
別にケンカしたわけじゃないんだけど、もう一ヶ月も連絡くれな
くって。
先輩にとって私って、その程度の存在だったのかな?なんて思う
と、こちらからもメールや電話もしづらくて・・・。
きっと、もう・・・このまま逢えないまま、自然消滅・・・。
「ごめん!待った?」
ふいに後ろで男の人の声がして反射的に振り返ってしまったけ
ど、
それは私の横に立っていた女の人の恋人だった。
「ううん!」
満面の笑みを浮かべて彼の腕の中に飛び込む彼女。
幸せそうな二人・・・。
急に、こらえきれない感情が溢れてきた。
やっぱり、このまま先輩と離れてしまうのはイヤ!!
バックから携帯を取り出し、先輩の番号を押した。
急に呼び出して、来てくれるかな?先輩。
もしかしたら、もう私とは会ってくれないのかもしれない。
いや、それどころか、今頃、他の誰かとデート中だったりし
て・・・?!
もし、そうだったら・・・・
コール音が聞こえ、
次の瞬間、真後ろで「白い恋人達」の着メロが流れた。
はっと振り向くと、携帯を持った先輩が立っていた。
びっくりして、驚いて・・・何も言えなかった。
ただ「白い恋人達」のメロディだけが流れていた。
「先輩、着メロ変えたんだ?」
「うん。お前、この曲、好きだろ?」
「うん!好き!!」
「白恋」も好きだけど、先輩のことも大好きだよ。
「お前、腹減ってんじゃないの?なんか食いに行こう。」
「うん!えへへっ、お腹ペコペコ〜〜。」
先輩の隣りに並んで歩いて、
自然に笑みがこぼれる。
「・・・あの〜、それって下・・・アレ?」
先輩が私の服を横目で見て小声で訊ねる。
「サンタ・ガール?」
「ふっふっふっ♪♪♪」
コートの裾からチラッと赤のミニスカートをのぞかせると・・・
「おおっ!!」
露骨に大喜びする先輩・・・かわいいっ♪
そして、聖なる夜は・・・
愛して愛されて
・・・忘れられない夜となりました。。。
2001-11-12 めるりん
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