桑田佳祐/白い恋人達 あなたの冬の恋物語
 
「風にとまどう、弱気な僕・・・」仕事中に突然歌い出したシロ に、私はこの人だ、と思ってしまった。それまで、オヤジギャグ を飛ばすただのバイト先の正社員だと思っていたシロに、何故か 私は恋をしてしまった。去年の五月のはじめだった。

私から積極的になった恋は初めてだった。シロといると初めての ことが多かった。初めて、私を生んでくれた親と、シロを生んで くれた親に心底感謝した。

街やテレビであふれるサザンの曲には、思い出がありすぎて、シ ロのことばかりを思い出す。
カラオケにはよく行った。布団の中で、MDを聴きながら一緒に くちずさんだ。
「波乗りジョニー」のサビの部分は、何故かハモリの高音を一生 懸命歌ってたシロ。それを聴いていてふきだしてしまったけど、 幸せだった。

つい先々週、私たちは別れた。シロが二度目の浮気をした。同じ 場所ではもう働けないと思ったけれど、十月の寒空のしたで、今 まで「ごめん」もまともに言ったことのなかったシロが、「ごめ ん」と言って土下座してしまったので、私は動揺した。さんざ、 言いたいことを撒き散らした後、「また、いろんな話しよう。」 と言った。一緒に働く仲間として。

そんなのはただの理由づけだった。私はシロと接点がほしかっ た。裏切られたことに対する意地があったから別れようと言った けど、シロを憎む気持ちにはなれなかった。仕事をしながら、サ ザンや浜省の歌を口ずさんでる、シロを、これからも見ていたか った。私の一方的で勝手な気持ちかもしれない。

バイト先の休憩室に、シロのマフラーが置いたままだ。数日前、 寒い日にしてきたかと思えば、二、三日置きっぱなしにしてあ る。マフラーは去年、私があげたものだった。モヤモヤした気持 ちになった。

シロは今、何を考えているの?
シロは今、何をしているの?

シロ、新曲がでたよ。
桑田圭祐の「白い恋人達」
もう聴いた?
どこかで歌ってるのかな。
私は涙が止まらない。シロに謝られた時も泣かなかった。
別れ際、少し指先をからめた、あの後みたいに涙が止まらない。
シロの声がききたい。

マフラーを届けに、会いに行ってもいいだろうか。
あと何回かこの曲をきいてしまったら、私は多分シロに会わずに いられないと思う。
 
 
2001-11-05 さーちん
 
 
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