桑田佳祐/白い恋人達 あなたの冬の恋物語
 
「 ALL I NEED IS YOU 」
これが初めて男の人からもらった愛のメール。
サザン好きの彼からもらったものです。なんだ、サザンの曲のタ イトルのパクリじゃん、と思うかもしれませんが私はグッきまし た。
実は、彼は私にとって全てが初めての人でした。告白したこと も、付き合うことも、キスも、その先も…。でも彼には言ってま せん。女は見栄とプライドだけは高いもの。見栄で、架空の元彼 すら創ってしまいました。
初キスはディープキスでした。それはクリスマス・イブの夜。歯を 三度洗いもし、これから起こる何かに期待を胸いっぱい膨らま せ、家を飛び出る私。マフラーは持った…っと。初めて編んだん だよね、手編みのマフラー。喜んでくれるかなぁ…なーんて思い ながら急いで自転車こいだっけ。
唇が重なった時。初めて自分じゃない他人の舌の感触の衝撃がす ごかった。嬉しいんだけど、その時は気持ち悪いって思ってしま った。家に帰って電話で、キスした話になって私は「ディープは あまり好きじゃない」と言ったら「デリカシーない!誰と比較し てるの?」と冗談まじりで叱られました。「別に比較してない よ」と言ったけど、本当だよ。初キスだったなんて言えなかった な。
日々が過ぎ、体も結ばれて、人生の中で一番幸せでした。
しかし彼の体調が悪く、会えない日が続きました。子供な私は、 ただ会いたい会いたいと言って相手のことも考えず、自分の気持 ちばっかりになっていきました。歳の離れた彼は、こんな私にあ きれていたと思います。結局私達は駄目になってしまいました。
どうして待てなかったんだろう、と今になって思います。相手の ことを考えたら、好きだったらあんな態度はとれないはずなのに と思います。あの時はごめんね。

一番最初に書いた愛のメールですが、実は今実物は無いのです。
別れる前にケータイをかえる際、メールが入ってるそのケータイ を捨てちゃったから。だから、この話の証拠は全然無いんです。
女は何かとすぐ証拠を欲しがるものです。指輪を欲しがるのも結 婚したがるのも、何か愛の形が欲しいから。私もそう。でも淋し くないよ。だって、私の胸の中にあの時深く刻まれたから。

最後に、あなたがくれた言葉を今度は私から言いたい。
「 ALL I NEED IS YOU 」
 
 
2001-11-02 あい
 
 
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