きっと、宝物ってこういう思い出なんだよね。そう、こんな私に
だって冬の恋物語があったんです...。
念願の女子高に合格して初めての冬。自分で決めたはずの一人暮
らし。なのに、夜になると窓の外は、深く暗い冬空。部屋は静か
で、ストーブの炎の音と窓の外の雪の降る音と。階下のおばさん
夫婦の笑い声が時折聞こえてくるだけ...。さびしいなんて絶対言
わないって決めて、やっと、頑張らなくっても寂しくないかなっ
ておもいだしたのにおばさん達が旅行に出かけた夜の事。ずっと
やまない雪の中、本当に突然のお客さま。おばさんの息子だよっ
て言って、いろいろ話てくれて。私が一人だから寂しくないよう
きずかってくれて、戸締りして帰っていきました。それからは、
おばさん達が帰ってからも、時々二人で話しをするようになっ
て、幼い私が背伸びして大人の気分になれるのがうれしくて。で
も、三月。高校の卒業式の夜、玄関から上がりもせず、おばさん
と都会に就職するからってお別れの挨拶。ただ私は、二階の窓か
ら見送るだけ。静かに途切れず降る雪が、川べりの街灯に照らさ
れる中、黒いコートの後ろ姿が見えなくなるまでずっと見てい
た。走って追いかけて行けたらいいのに、って思いながら。
2001-11-01 ちろろ
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